JICAエッセイコンテスト2025中学生の部の1次審査に参加して

石井 希(モロッコ隊員OBの同僚)

 数年前の事です。「エッセイコンテストの審査員に参加してみませんか?」同僚から、そうお声掛けをいただきました。幼少の頃より本を読むことは好きですが、「審査員なんて務まるだろうか。」そんな不安を抱いたものの、すぐに「はい」と返事をしたのは「今の中学生は何を考えているのだろう」そんな好奇心からでした。
 実際に彼らの書いたエッセイは、子供と青年期の面影が交差するように大人びた表現が時折あるかと思えば、幼子のような素直な感情が書かれてあり、彼らの成長過程が垣間見えるようでした。そして、その時々の社会的背景や世情が彼らの文章の中に散りばめられています。彼らの目を借りて覗く世界はとても興味深いものでした。

 審査会では、JOCVのOB・OGの方々と交流させていただき、初めて聞く都市の名前や現地で隊員の生活状況、派遣先での出来事、現地の人々の話は体験した人でないとできない深いお話ばかりでした。「青年海外協力隊」というものを知ってはいたものの、発展途上国に人で支援する仕組みぐらいの知識しかありません。OB・OG隊員の方々のお話は、驚くこと、感心すること、疑問に思う事、今まで自分が「青年海外協力隊」というものに対して抱いていた考え、認識が覆されるようでした。
 このエッセイコンテストの審査員の経験を通して、自分の知識の幅が広がったことは間違いありません。2025年をもって審査員の活動が最後となる事に寂しさを覚えるとともに、審査員として受け入れてくださいました元JOCV隊員の方々に感謝申し上げます。